名西高校との交流会(第2回)

                名西高校との交流会 (第2回)

   10月10日(木)の午後に高等部の2年生1名とその母親,教員2名が名西高校を訪れて,

 人権問題研究会のメンバー4人と交流会を行いました。前回は本校に来てもらいましたが,
 今回はこちらから伺いました。
 
  名西高校の4名の内の2名とは初顔合わせだったので,自分を色に喩えるアイスブレー
 キングから入りました。水色,緑,青,オレンジなどいろんな色が出てきました。オレンジに
 喩えた人は「明るく生きたいから」とか,「うるさくて ,落ち着きがないから」ということでした。
 水色に喩えた人は,「広い海や空のような大きな器の人間になりたいから」ということでし た。
 
 
    今回も前回に引き続いて障害者の身近な人権問題について意見や思いを交換しました。
   本校の生徒は先月東京方面へ修学旅行に行ったさいに体験したことについて紹介しまし
 た。ディズニーランドでは車椅子利用者が使えるトイレの数が少なくて,一般のトイレの使
 用者に比べて待ち時間がかなり長くなったことやディズニーランドのモノレールの駅では車
 椅子利用者が使えるエレベーターが1台で,しかも中が狭くて車椅子が一度に1台しか乗れ
 なかったこと,ホテルでは頼んであったシャワー用の椅子が用意されていて便利であったこ
 となどを紹介しました。
   この後,障害がある人がトイレ等にアクセスしやすいかどうかという視点から障害がある
 人の人権について意見や思い・情報をお互いにシェアし合いました。

   トイレに関して次のような考察をしました。
①以前は,車椅子マークがついている(駅やショッピングセンター等の)トイレは,男女の区
  別がなくて一つしかなかった。
②それは障害がある人を「無性の存在」と観る障害者観の現れである。
③しかし,最近は男女別に設置されるようになってきた。
④それは,障害がある人が,黙って待っていてそうなったのではない。
⑤それは,教科書無償闘争のように,当事者が人が声を上げ,異議申し立てをすることに
  よって改善されてきた。

  また,障害がある人がこの社会にアクセスする際の不便さ・しんどさについて次のような
考察をしました。
①NHKのEテレにおいて車椅子に乗った実験者が新大阪から四天王寺前夕陽ヶ丘間を往
  復する間に「ありがとう」「スミマセン」を何回言うか,という社会実験を行った。
②自分は車椅子を使用している子の親であるが,100回以上言う必要があると考える。
③実験者によると,120回も言わざるを得なかった。社会のありように問題があることがわ
  かっているので,このように言わざるを得なかったことのしんどさがボディブローのよう
  に効いてきたという。
④無関心な人に支援を頼むと疲れるが,自発的に支援をしようとしている人にはアイコン
  タクトで支援の要請が通じて,疲れない。
⑤この社会の在りようを例えると,その構成員に車椅子利用者がいるのに,その人の意
  見を一切聴かずに他の構成員だけで設計をして建ててしまった家のようなものである。
  だからその家はユニバーサルデザインになっていないから,障害がある人が非常にア
  クセスしにくいものになっている。そのような瑕疵(欠点)がある建物を勝手に作ってしま
  ったことが理由で車椅子利用者が住みにくいのに,車椅子利用者が「ありがとう」「スミ
  マセン」を常に繰り返さなければならないのである。
⑥イタリアのパレルノに行ったとき,あるトイレに入ると,すべてのトイレが多機能トイレに
   なって いて,障害があるなしにかかわらず同じユニバーサルデザインのトイレを使って
   いた。
⑦ユニバーサルデザインを物や施設だけにとどめるのではなく,制度や礼儀作法・マナー
  にいたるまで適用すれば,すべての人が住み良くなる。(例:「座って失礼します」という
  礼儀作法は,車椅子利用者を失礼な存在にしてしまう)

  最後にそれぞれ感想を述べて別れました。その内のいくつかを紹介します。
①社会において何か(例:トイレ)が改善されたとしても,それはまず当事者が問題提起を
  したからであって,当事者がまず発信していかないと何も変わらないということが分かっ
  た。
②ふだん何気なく「あたりまえ」と思っていること(例:車いすマークがついている古いトイレ
  男女別になっていないことなど)が,「あたりまえ」でないということに気づいた。